英語の「TR」と「DR」の発音の違いと発音のコツ

英語には「TR」あるいは「DR」と綴られる単語が多々あります。これらの発音はしばしば「CH」「JR」と発音しているかのように聞こえることがあります。

具体的には、 train が /treɪn/ ではなく「ch-ain」といっているように聞こえたり、drama /ˈdræmə/ が「jr-ama」とでも綴られる単語であるかのように聞こえたりしがちです。

原則的には、「tr」も「dr」も、綴りの通りに発音されます。発音記号でも /tr/ /dr/ と表記されます。他方、「ch」や「jr」は発音記号では /tʃ/ /dʒr/ のように表記されます。つまり、基本的には明確に異なる発音です。

/tʃ/ と /dʒr/ の発音の仕方と比較しながら、/tr/ と /dr/ の発音の理解を深めましょう。発音の共通点は多いですが、唇の使い方や舌の位置が微妙に異なります。

「TR」と「DR」の発音のコツ

「TR」と「DR」は、英語の発音記号でそれぞれ /tr/ /dr/ と表されます。/t/ と /d/ を発音する場合と /r/ を発音する場合では異なる発音のコツがあります。

/t/ と /d/ を発音する場合

/t/ と /d/ の発音の仕方は非常に似ています。唇の使い方や舌の位置は全く同じです。

/t/ が無声音で、/d/ が有声音であることが発音上での違いです。無声音とは喉の振動を利用しない音で、有声音とは喉を振動させて発音する音です。

/t/ と /d/ を発音する場合のコツは、舌先を前に向け、舌の先端を口内の上部に軽くつけることです。

このとき、舌先が上の前歯裏に触れることを意識しましょう。舌の使い方は /tʃ/ と /dʒr/ を発音する場合とほとんど同じです。

なお、唇には力を入れずリラックスさせた状態にします。カナ表記で /t/ は「トゥ」、/d/ は「ドゥ」と表すのが最も近い音でしょう。

/r/ を発音する場合

/t/ もしくは /d/ を発音した流れで /r/ は 発音されます。

/r/ を発音する際のコツは、舌の位置を少し下げる、つまり、/t/ もしくは /d/ を発音した際の舌の位置から軽く下に持ってくることです。それと同時に、舌の先端を喉の方に引っ張られるように、口内の奥に向かせます。

さらに、唇の力を抜いていた /t/ と /d/ の発音から、/r/ の発音では唇を少し緊張させ、やや尖らせます。

/t/ もしくは /d/ の発音において、早く唇を丸く尖らせて発音してしまうと、/tʃ/ と /dʒr/ の発音に聞こえてしまうことが多いので要注意です。

/tr/ の発音を含む英単語

/tr/ の音を含む英単語はたくさんあります。それぞれの英単語を発音する際には、「TR」が「CH」に置き換わってしまっていないかどうか確かめましょう。

例えば、try は ch-ay のような綴りの発音に聞こえてしまったりします。

  • try(/traɪ/)
  • train(/treɪn/)
  • tree(/triː/)
  • trust(/trʌst/)
  • transfer(/ˈtrænsfɝː/)
  • traditonal(/trəˈdɪʃənəl/)
  • trip(/trɪp/)

/dr/ の発音を含む英単語

/dr/ の発音を含む英単語の発音練習をすることで、正しい 「DR」(/dr/) の発音に慣れましょう。例えば、drive を jr-ive のように発音している人は、舌の位置や唇の動きをもう一度確認してみるとよいでしょう。

  • drive(/draɪv/ )
  • drain(/dreɪn/)
  • drama(/ˈdræmə/)
  • dreadful(/ˈdredfəl/)
  • dream(/driːm/)
  • drip(/drɪp/)

「CH」と「JR」の発音のコツ

「CH」「JR」は /tʃ/ /dʒr/ といった発音記号で表されます。カナ表記をすると、/tʃ/ は「チャ・チィ・チュ・チェ・チョ」という音に対応し、/dʒ/ は「ジャ・ジィ・ジュ・ジェ・ジョ」といった音に対応します。

/tʃ/ と /dʒr/ を発音する場合の方法は、舌先を前に向けて、口内上部に置きます。舌先を上の前歯裏に触れるようにします。このとき、唇を少し尖らせたような、緊張させた状態にすることがポイントです。

/tr/ と /dr/ の発音との違いは、発音の最初から唇を丸く尖らせておくことです。/tr/ と /dr/ を発音する場合には、/t/ か /d/ の発音で口を尖らせません。/r/ の発音に移った際に口を丸く尖らせます。

さらに舌の位置も異なります。 /tʃ/ と /dʒr/ を発音する場合の舌の動きは、終始口内の上部に位置させます。

それに対して、/tr/ と /dr/ の発音の方法は、/r/ の発音に移った際に舌の位置を下げ、舌の先端を喉の奥の方へに向かせます。

なお、英米圏の人でも実際に /tr/ と /dr/ をそれぞれ、/tʃ/ と /dʒr/ と発音する場合があるといわれています。

したがって、「TR」と「DR」の発音がそれぞれ「CH」と「JR」の発音に聞こえるが実際は別の発音なのだ、という程度に理解しておきましょう。