英語の「訛り」、オーストラリアとニュージーランドで話される英語の特徴

オーストラリアおよびニュージーランドは、ともに英語を公用語とする国ですが、アメリカ英語やイギリス英語とは少し違った発音の特徴や傾向があります。オーストラリアで話される英語は特にオージーイングリッシュと呼ばれます。

顕著な傾向としては、語末の特定の音を省略する言い方が好まれる、あるいは母音の発音が変化しやすい、といった点が挙げられます。語末を省略する言い方は日本語的な感覚から見ても親しみやすさが感じられます。

オーストラリアで話される英語の訛り

オージーイングリッシュは全体的に、語彙を短縮・省略する言い方が好まれます。

発音の面では、語末の特定の音が省かれたり、あるいは /r/ の音が挿入されたり、といった傾向があります。

語末の「g」は発音されない

オージーイングリッシュでは語末にある「g」は発音されない傾向が比較的顕著であるといえます。発音記号で表記すれば、/ɪŋ/ が /ən/ に変わります。

一般動詞の現在分詞形につく語末の -ing の「g」などは、g が省略されやすい典型例といえるでしょう。

  • thinking → thinkin’
  • going → goin’
  • What are you doing? → Whatcha doin’?
  • Are you kidding me? → Are ya kiddin’me?

語末の「t」も発音されない

オーストラリアで話される英語では、語末の「t」も省略される場合が見受けられます。語末の「t」が省略されることを知らないと、聞き間違えてしまうかもしれません。

さらに、語中の「t」の発音も省略される場合があります。

  • can’t → can’
  • content → conten’
  • document → documen’
  • printer → pri-ner
  • centre → cen-re

語末の「r」は/ɑ/に変化する

オーストラリアで話される英語において、英単語の語末の「er」「or」「ar」「ure」「our」は /a/ に変化するといった特徴もあります。発音記号でいうと、語末の /ə/ を /a/ と発音するということです。

例えば water は本来、日本語の「ウォーター」に近い発音をされますが、オージーイングリッシュでは water が日本語の「ウオッタ」に近い発音に聞こえます。

  • water(/ˈwɔːtər/)→(/ˈwɔːta/)
  • area(/ˈeəriə/)→(/ˈeəria/)
  • actor(/ˈæktər/)→(/ˈækta/)
  • favour(/ˈfeɪvər/)→(/ˈfeɪva/)

「r」が付け足されて発音される

オーストラリアで話される英語では「r」が付け足されて発音される場合もあります。「r」は単語と単語をつなげる役割を果たすので、付け足される「r」がオーストラリア人の話す英語が早いといわれる要因であるとされています。

例えば、オーストラリアで話される英語の発音では「saw it」は2単語が単純に連結されるのではなくて、「saw-r-it」と、「saw」と「it」の間に「r」が付け足されて連結されます。

  • I saw it yesterday → I saw-r-it yesterday
  • Australia is huge → Australia-r-is huge

ニュージーランドで話される英語の訛り

ニュージーランドで話される英語も、他国と異なる英語の訛りを持つといわれています。ニュージーランド英語には日本人にとって馴染みのない発音の訛りがあります。

ニュージーランドで話される英語の特徴は「母音の変化」が多いことです。

「o」は /ɔɪ/ と発音される

ニュージーランド人の話す英語では、/əʊ/ もしくは /oʊ/ という発音記号で表されることが多い「o」が /ɔɪ/ と発音される場合があります。

    なお、hello(/heˈləʊ/ )と know(/nəʊ/)はイギリス英語の発音です。

  • hello(/heˈləʊ/ )→(/heˈlɔɪ/ )
  • know(/nəʊ/)→(/nɔɪ/)

「i」は /u/ と発音される

ニュージーランドで話される英語では、たいてい /ɪ/ と発音される「i」が /u/ と発音されることがあります。

例えば、fish and chips は日本語カタカナの「フィッシュ・アンド・チップス」としても知られています。しかし、ニュージーランドでは /ɪ/ を /u/ と発音するので、fish and chips は日本語の「フッシュ・アンド・チュップス」に近い音に聞こえます。

  • fish(/fɪʃ/)→(/fuʃ/)
  • chips(/tʃɪp/)→(/tʃup/)
  • hit(/hɪt/)→(/hut/)
  • six(/sɪks/)→(/suks/)

「e」は /ɪ/ と発音される

ニュージーランド人は、「e」を /e/ と発音せず、/ɪ/ と変化させて発音します。/e/ を /ɪ/ として発音する特徴は多くの聞き間違いを引き起こしてしまいます。

例えば、pen は日本語の「ペン」に近い音で発音されます。しかし、ニュージーランドで話される英語では、pen が英語の pin(/pɪn/)とほとんど同じ発音に聞こえてしまいます。日本語の「ピン」に近い音です。

  • pen(/pen/)→(/pɪn/)
  • yes(/jes/)→(/jɪs/)
  • red(/red/)→(/rɪd/)
  • seven(/ˈsevən/)→(/ˈsɪvən/)
  • ten(/ten/)→(/tɪn/)
  • bed(/bed/)→(/bɪd/)

「a」は /e/ と発音とされる

ニュージーランドで話される英語では「a」は /e/ と発音とされます。もっぱら、「a」の発音のひとつである /æ/ が /e/ へと変化します。

「a」は /e/ と発音とされる特徴はニュージーランドで話される英語特有の発音パターンであるので、普段学校などで学習する英語の発音とは別物である、と考えておきましょう。

  • that(/ðæt/)→(/ðet/)
  • cat(/kæt/)→(/ket/)
  • bad(/bæd/)→(/bed/)
  • accident(/ˈæksɪdənt/)→(/ˈeksɪdənt/)