英語の発音における「マジックe」の性質と使いこなし方

英語にはマジックe(Magic e)と呼ばれる発音規則があります。
マジックe は、語末の e を発音しない「サイレントe」(Silent e)の一種であり、かつ、直前の母音の発音を変える役割があります。

マジックe を上手に表現できるか否かで、発音の英語らしさは大きく違ってきます。うまく使いこなして一歩上の発音を目指しましょう。

マジックe とは

マジックe とは英語特有の発音のルールです。マジックe は語末に e がある場合、その e は発音されない「サイレントe」のひとつです。

マジックe は直前にある母音の発音を変化させます。ただし、英単語の中にはサイレントe に当てはまっても、マジックe の原則に当てはまらない例外もあるので、注意したいところです。

マジック e の持つ役割

マジック e は直前にある母音の発音を、その母音にあたるアルファベットの読みに変化させる働きがあります。

例えば、アルファベットのA は /æ/ や /ʌ/ といった母音で発音されますが、マジックe の影響を受けた場合、/æ/ や /ʌ/ は /ei/ に変化する、つまり、アルファベットのA の読み方「エイ」に変わります。

マジックe の下では原則として、マジックe の直前にある母音の発音がアルファベット読みの「A・E・I・O・U」 の5つのいずれかに変化します。

マジックe は言語学の観点からいうと、短母音から長母音(二重母音)へ変化させる役割があるといえます。例えばアルファベットのA の発音記号のひとつである /æ/ は短母音です。ですがマジックe によって、長母音(二重母音)である /ei/ に変化します。

マジックe の直前の母音が「A」の場合

A+マジックe の場合、A の発音は /ei/ に変化します。

bathe は A+マジックe に当てはまる英単語です。bathe は発音記号で /beɪð/ と表記され、語末の e は発音されず、直前の母音は /ei/ と発音されます。日本語でいうと、「ベイス」に近い音で発声されます。

A+マジックe に当てはまる英単語

A+マジックe に当てはまる英単語の a は全て /ei/、日本語でいうと、「エイ」に近い音で発声されます。

  • mate(/meɪt/)
  • ache(/eɪk/)
  • age(/eɪdʒ/)
  • face(/feɪs/)
  • fake(/feɪk/)
  • take(/teɪk/)
  • trade(/treɪd/)

マジックe の直前の母音が「E」の場合

E+マジックe の場合、E の発音は /iː/ に変化します。

theme は E+マジックe に従った発音をされます。発音記号では /θiːm/ と表記されます。語末の e は発音されず、直前の母音である e は /iː/ と発音されます。語末の e をとった them(/ðəm/) のように発音はされません。日本語で表記すると、「スィーム」に近い音で発声されます。

E+マジックe に当てはまる英単語

  • athlete(/ˈaθliːt/)
  • compete(/kəmˈpiːt/)
  • concrete(/ˈkɒŋkriːt/)
  • delete(/dɪˈliːt/)
  • extreme(/ɪkˈstriːm/)
  • scene(/siːn/)
  • scheme(/skiːm/)

マジックe の直前の母音が「I」の場合

I+マジックe の場合、I の発音はアルファベット読みである /aɪ/ に変化します。

I+マジックe の典型である bite を例にとって考えてみましょう。語末に e のない bit という英単語では、発音記号で /bɪt/ と、i が短母音で表されます。ですが語末に e のついた bite は、発音記号で /bʌɪt/ と表記されます。

マジック e があることで、e の直前の i の発音が変化したことがわかります。

I+マジックe に当てはまる英単語

  • bike(/bʌɪk/)
  • five(/fʌɪv/)
  • mine(/mʌɪn/)
  • nine(/nʌɪn/)
  • price(/prʌɪs/)
  • quite(/kwʌɪt/)
  • write(/rʌɪt/)

マジックe の直前の母音が「O」の場合

O+マジックe の場合、O の発音は /əʊ/ に変化します。

O+マジックe に当てはまる英単語の code を例にとります。code は発音記号で /kəʊd/ と表されます。マジックe の働きで code のe は発音されず、o は短母音の /ɒ/ とは発音されず、長母音(二重母音)の /əʊ/ と発音されます。日本語で表記すると、「コウド」に近い音で発音されます。

O+マジックe に当てはまる英単語

  • home(/həʊm/)
  • joke(/dʒəʊk/)
  • phone(/fəʊn/)
  • rose(/rəʊz/)
  • smoke(/sməʊk/)
  • suppose(/səˈpəʊz/)
  • stove(/stəʊv/)

マジックe の直前の母音が「U」の場合

U+マジックe の場合、U の発音は /(j)uː/ に変化します。

U+マジックe の典型的な英単語は cute が挙げられます。cute は発音記号で、/kjuːt/ と表記されます。cute の語末の e は発音されません。語中の u は /ʌ/ などと発音されず、/juː/ と発音されます。語末に e があるだけで、cut(/kʌt)とは明確に異なった発音に変わることがわかります。

U+マジックe に当てはまる英単語

  • dispute(/dɪˈspjuːt/)
  • excuse(/ɪkˈskjuːs/名詞)
  • huge(/hjuːdʒ/)
  • mule(/mjuːl/)
  • refuse(/rɪˈfjuːz/動詞)
  • June(/dʒuːn/)
  • rude(/ruːd/)

マジックe の例外

語末に e を含みますが、マジックe に当てはまらない英単語があります。ただ、語末の e は発音されません。

e の直前の子音が r の場合

母音+ r + e は発音記号で、 /ə/ と表記されます。日本語でいうと「アァ」と発音されます。語末に e がありますが、直前の母音はアルファベット読みで発音されません。

  • are(/ə/、/ɑː/)
  • figure(/ˈfɪɡə/)
  • there(/ðə/)
  • were(/wə/)

その他の英単語

基本的な英単語ばかりなので、そのまま発音を覚えてしまうのもよいでしょう。

  • have(/hav/)
  • give(/ɡɪv/)
  • love(/lʌv/)
  • come(/kʌm/)
  • some(/sʌm/、/s(ə)m/)