英語らしい発音に近づく「フラップT」の発音のコツ

英語(とりわけアメリカ英語)には「フラップT」(flap-t)と呼ばれる独特の発音ルールがあります。これを上手に発音できると、かなりこなれた印象の発音に近づけます。

フラップTは、基本的には、t の音が r や d に置き換わるように変化します。

フラップTは発音記号では示されない、どちらかといえば音便や訛りに近い変化です。規則・原則というよりは傾向を掴むような感じで、軽く把握しましょう。

フラップT の特徴

フラップT は、英単語に含まれる t の発音が特定の条件で別の音に変化する現象を指します。フラップ(flap)の名の通り、口内で舌がパタつくように動く点がポイントです。

フラップTの発生条件

フラップT は、 t が前後を母音に挟まれており、かつ、t を含む音節にアクセントが置かれていない場合に起こります。

1単語内で条件が揃う場面に限らず、2語にまたがって(リンキングが生じる場面で)同じ条件が揃う場面でもフラップTが起こります。

条件が揃ったら必ずフラップTを加えて発音しなければならない、というわけでもありません。丁寧にゆっくり話す場合はフラップTのような連声は控えられますし、フラップTが生じなくても意思疎通は十二分に可能です。

フラップT の発音の仕方と含む典型的な単語の例

フラップT の発音は、口内で舌を上下に跳ねるように、舌をバタつかせるように素早く動かして発します。これが結果的に d や r の音に置き換わっているように聞こえるわけです。

フラップTが発生する代表的な単語としては、better や party が挙げられます。better は「ベラ」「ベダー」のように、party は「パーリー」「パーディ」のように発音してみると、より英語(アメリカ英語)っぽい発音になります。これがフラップT の効果です。

better の発音の仕方

better は発音記号の上では /ˈbɛtə/ と示されます。つまり t の音は発音記号上は t のままです。実際はフラップTによって t とは少し違った音になります。

better の t(tt) は、前後を母音 /ɛ/ と /ə/ で挟まれており、かつ、t を含む音節にはアクセントは置かれていません(アクセントは語頭の b にあります)。

単語が含む最初の母音である /ɛ/ を発音する際、舌は全体的に下げられている状態です。このとき、同時にあごも下げます。舌とあごをどちらも下げた状態で、日本語の「エ」に近い音を発声します。

tt 部分を発音する際には口内の下部に置かれていた舌を素早く口内の上部へ跳ねるように動かします。うまく発音できると tt は d か r に近い音に聞こえます。

舌を口内の最上部へ素早く動かした後は、r の発音のように、舌を引いて喉の奥に戻します。舌と口内の上部との接触はさらっと触れる程度に留めておくことがポイントです。

フラップT の直後の音である /ə/ は、舌を引いて喉の奥に戻した際に発音されます。/ə/ は曖昧母音であり、口元の力を抜いた状態で発音します。日本語の「ァ」の発音に近い感覚と捉えてよいでしょう。

Flap T を含む単語

日常的に用いられる基礎単語の中には、フラップT が生じる英単語はそう多くありません。ひととおりまとめて覚えてしまうことも難しくないでしょう。

  • city(/ˈsɪti/)
  • hospital(/ˈhɒspɪt(ə)l/)
  • matter(/ˈmatə/)
  • water(/ˈwɔːtə/)
  • better(/ˈbɛtə/)
  • university(/juːnɪˈvəːsɪti/)
  • thirty(/ˈθəːti/)
  • forty(/ˈfɔːti/)
  • pretty(/ˈprɪti/)
  • party(/ˈpɑːti/)

d の発音もフラップT と似る場合がある

d と綴られる音も、母音に挟まれていて、かつ d を含む音節にアクセントが置かれていない、という条件が揃った場合、フラップT とほぼ同じように発音の微妙な変化が身あれます。

たとえば、middle や ladder といった語は、 d の音がフラップT とほぼ同じように変化し、r に近いような音を含むようになります。

  • middle(/ˈmɪd(ə)l/)
  • ladder(/ˈladə/)