英語の「can」と「can’t」を聞き分けるコツ

英語の「can」と「can’t」の聞き分けは非常に難しいとされています。「can」と「can’t」の意味上の違いは肯定か否定のみなので、文脈でも判断しづらいです。

さらに、両単語は正反対の意味を持つために、聞き間違えに気付かないと事実を誤認してしまう場合も起こり得ます。

「can」と「can’t」を聞き分けるコツは、「音の長さ」や「アクセント」などを意識して注意深く聞くことです。

can と can’t の概要

can は可能を示す助動詞です。can の発音記号は /kæn/ と表されます。日本語では「~できる」と訳されることが多いです。

それに対して can’t は「can not」の短縮形です。もうひとつの短縮形は「cannot」と表されます。can’t は発音記号で /kænt/ と表されます。can’t は日本語で「~できない」と訳されます。

can と can’t を聞き間違える原因「無破裂音」

たいてい、「can’t」の /t/ が聞き取れないために「can」と「can’t」を聞き分けることができない、といわれています。

「can’t」の語末の /t/ は「無破裂音のt」と呼ばれ、ほとんど発音されない音です。反対に、破裂音は、口内の空気の流れが止まった状態で、舌や唇を弾くように用いて発声される、詰まったような音です。

無破裂音の発音のコツは破裂音の発音の直前で止めることです。舌で口内を弾く際に発声される小さな音が無破裂音です。/t/ の音が単語の語末にある場合、その /t/ は無破裂音になります。

無破裂音のt は、鼻にかかったような短い音に聞こえることが特徴です。 「hot」の /t/ や「shouldn’t」の /t/ も「無破裂音のt」です。

したがって、can の /n/ と無破裂音を含む can’t の /nt/ の発音の区別がつかないために聞き間違いが起こります。どちらも「キャン」「カン」といったカタカナ言葉のように聞こえてしまいます。

can と can’t を聞き分けるコツ

can と can’t を聞き分けるコツはいくつかあります。語末に無破裂音t があるかどうかで判断することもひとつの手ですが、無破裂音はほとんど発音されないために、それだけでは判断しづらいでしょう。

「音の伸ばし」や「母音の変化」、「アクセント」が聞き分ける重要なポイントです。

音を伸ばしているかどうか

音を伸ばして発音されているかどうかが、can と can’t を聞き分けるコツのひとつです。

can は can’t に比べてやや長く発音される音だといわれています。can の発音は鼻にかかっていない分、滑らかな音だともいえます。やや大げさですが、「キャーン」という音として聞こえるのが can です。

それに対して、can’t は少し短い発音だといわれています。can’t は鼻にかかったような音なので、ぼわっとした音の印象を受けます。can’t は「キャン」といった風に聞こえることが多いです。

なお、「音の伸ばし」の違いは can や can’t を用いた簡単な英語の応答や、比較的ゆっくりと英語を話すスピーチの際に見受けられます。

母音の変化が起きているかどうか

母音の変化が起きているかどうかも、聞き分けるコツのひとつです。

can が会話の中で用いられる際に、can の母音が変化することがしばしばあります。

can は本来、発音記号で /kæn/ と表されますが、会話の中では /kən/ として発音されることが多々あります。個別の発音記号で示すと、/æ/ が /ə/ へ変化します。

/ə/ は母音のひとつで、曖昧母音と呼ばれています。/ə/ は、自然な口の開きから短く発音されることが特徴の音です。/kən/ として発音される can は「クン」「クゥン」といった風に聞こえます。

それに対して、can’t は会話の中でも母音の変化は生じません。

比較的長い文章、もしくは早口で英語を話す場合には、can が /kən/ と発音されることが多いので、「母音の変化があるか」で判断することができます。

アクセントがどこに置かれているか

英米圏の人々は、文の中でどこにアクセントが置かれているか、で can と can’t を判断することが多いといわれています。

例えば、「I can play sports.」という can を用いた文では、たいてい、「play」に対して最も強いアクセントが置かれます。肯定文の場合、「動き」を示す動詞が最も大切だとされているからです。

それに対して、「I can’t play sports.」という can’t を用いた文では、話者は「can’t」に強いアクセントを置く傾向があります。

  • I can PLAY sports.
  • I CAN’T play sports.

したがって、文の助動詞部にアクセントが置かれていたら can’t で、動詞や他の部分にアクセントが置かれていたら can である、とおおよその見当をつけることができるでしょう。