英語の「短縮形」の発音まとめ

英語の表現方法のひとつに「短縮形」があります。

短縮形は、2つの英単語を合わせて、元の英単語の一部を省いた表現です。短縮形は縮約形や縮約とも呼ばれています。

例えば「I am」を「I’m」、「how is」を「how’s」と短縮して表記できます。短縮形は特に口語で用いられます。

各々の英単語の発音は学習したものの、短縮された英語の発音をイマイチ理解していない英語学習者が多いといわれています。

英単語によっては、短縮されたことで発音が変化する場合もあるので、注意が必要です。

主語+be動詞の短縮形の発音

主語+be動詞の短縮形はよく知られています。

I’m は I am の短縮形です。I’m(/aɪm/)の /aɪ/ は二重母音なので、ひとつの音として発声されなければなりません。

  • I’m(/aɪm/)
  • you’re(/jʊr/)

he is、she is の短縮形はそれぞれ he’s と she’s です。語末の「s」は /z/ と濁って発音されます。

it is の短縮形は it’s と表されます。語末の「s」は発音記号で /s/ と表記されます。アルファベットの綴りの通り、濁らずに発音されます。

なお he has や she has、it has といった、主語+have の縮約形も he’s、she’s、it’s と表記されます。

  • he’s(/hiːz/)
  • she’s(/ʃiːz/)
  • it’s(/ɪts/)

we are と they are の短縮形は、それぞれ we’re、they’re と表記されます。

  • we’re(/wɪr/)
  • they’re(/ðer/)

疑問詞+be動詞の短縮形の発音

疑問詞+be動詞の組み合わせも、しばしば短縮されて表記・発音されます。特に疑問詞+be動詞の短縮形は口語で用いられます。

how’s は how is の縮約形です。発音記号では /haʊz/ と表記され、語末の「s」は濁って発音されることに留意しましょう。what’s は what is の短縮形です。

how’s と what’s は「How’s going?」や「What’s up」など、定型の口語表現として知られているので、文ごと覚えると楽です。

  • how’s(/haʊz/)
  • what’s(/wɑːts/)

why’s は why is の短縮形です。why’s の発音は主に「賢い」を意味する形容詞 wise のそれと同じです。

  • when’s(/wɛnz/)
  • why’s(wáɪz)

主語・助動詞+haveの短縮形の発音

助動詞としての have は、現在完了形を表す際に用いられる英単語です。

would’ve は「~しただろうに」、could’ve は「~しようと思えば可能だった」「~したかもしれない」、might’ve は「~したかもしれない」といった意味を示す表現です。

主語+have の短縮形の発音においては、語末の /v/ の発音が重要です。/v/ を発音する場合のコツは、上前歯で下唇を弾くことです。

/v/ と発音する瞬間に唇で振動を立てることを意識しましょう。/v/ を発音する際には、はっきりと上前歯が見えます。

  • I’ve(/aɪv/)
  • you’ve(/juːv/)
  • we’ve(/ˈwiːv/)
  • they’ve(/ðeɪv/)

助動詞+have の縮約形の発音では、各助動詞の発音に /əv/ を続けます。/ə/ は曖昧母音のひとつで、英語で「schwa(シュワ)」とも呼ばれています。

/ə/ を発音する場合は口を適当に開き、「ア」と「オ」の間のような音を発声します。/ə/ にアクセントが置かれることは基本的にありません。/əv/ は弱く・早く発音されます。

  • could’ve(/ˈkʊd.əv/)
  • should’ve(/ˈʃʊd.əv/)
  • would’ve(/ˈwʊd·əv/)

might’ve は might have の短縮形です。might’ve は、「フラップT」と呼ばれる発音変化によって、実際には「mighd’ve」のように聞こえます。

フラップT は、t が前後を母音に挟まれており、かつ、t を含む音節にアクセントが置かれていない場合に起こります。フラップT は /t/ を /d/ に変化させる役割があります。

  • might’ve(/ˈmaɪ.t̬əv/)

主語+willの短縮形の発音

will は、未来や意志を表現する際に用いられる英単語です。主語+will の縮約形は、主語の発音の後に /l/ を付け足して発音されます。

/l/ を発音する際のコツは、舌を口内奥へ少し引き戻すことです。このとき、舌先は口内のどこにも触れないようにします。口は丸くすぼめておきます。

  • I’ll(/ɪl/)
  • you’ll(/juːl/)
  • he’ll(/hel/)
  • she’ll(/ʃel/)

なお it’ll の「t」も、フラップTによって、「d」のように濁った音として聞こえます。

  • it’ll(/ˈɪt̬.əl/)
  • we’ll(/wiːl/)
  • they’ll(/ðeɪl/)